前回はトラクターのファンベルトの張りの調整の手引きでした。
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今回は更に一歩踏み込んでファンベルトの交換の仕方を手引きします。
- ファンベルトは特殊なサイズが多い
- 今回はGT-3がモデル!
- 【ステップ1】オルタネーターを緩めてベルトを外す
- 【ステップ2】ファンとラジエーターの隙間からベルトを抜く
- 【解説】最近のファンベルトは凸凹しているベルトに
- 【ステップ3】新品のベルトを外した手順の逆で取り付ける
- まとめ
ファンベルトは特殊なサイズが多い
ファンベルトいくら張っても「キュッ、キュッ」とい音が消えない、もしくは張るのが限界でファンベルトが切れてしまったという時はファンベルトを新品に交換するしかありません。
そのままにしておくとラジエーターの冷却水の水が回らずエンジンがオーバーヒートしてしまったり、発電することが出来ないのでエンジンを切ったらバッテリーがあがってしまいセルが回らなくなったりと、とても大変なことになります。
トラクターのファンベルトのサイズは特殊なサイズが多く、41.5や43.5など〇〇.5と中途半端なサイズが多いです。
ですので、出来れば切れる前に張りしろが無くなったら部品を手配してすぐに交換することをおすすめします。
今回はGT-3がモデル!
それでは画像を用いてファンベルトの交換方法の手引きをしていきたいと思います。
今回のモデルとなるトラクターはクボタ『GT-3』です。
このシリーズはGT-3,GT-5,GT-8とあり、他のクボタのトラクターと違い型式で馬力を表していません。その為この型をお持ちの方は自分のトラクターの馬力を良く分かっていない場合が多いです。
ちなみにGT-3は21馬力、GT-5は23馬力、GT-8は26馬力となっています。更に余談ですがGT21、GT23、GT26も別の型式として存在します。
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なぜこのシリーズは3とか5なのか理由は調べても解りませんでした…。
さて、余談はこれくらいでファンベルトの交換を始めます。
【ステップ1】オルタネーターを緩めてベルトを外す
まずはオルタネーターを固定しているボルトを緩めます。やり方はファンベルトの張りの調整の時に解説したので省略します。
このモデルはオルタネーターを固定している下側はボルトとナットで固定するタイプでした。
オルタネーターを緩めたら奥までずらせるところまでずらしてファンベルトを外します。いっぱいに緩めても外すのがきつい場合があります。その時はファンベルトを外れる方向に引っ張りつつオルタネーターのプーリーを回しながら外すと外れます。外れない事は無いので気合で外しましょう。(くれぐれも怪我には注意してください)
ファンベルトは3か所のプーリーを通っています。
- 今外したオルタネーターのプーリー
- 一番下にあるエンジンのプーリー
- オルタネーターの奥にあるファン(ウォーターポンプ)のプーリー
以上の3か所を外したら次のステップになります。
【ステップ2】ファンとラジエーターの隙間からベルトを抜く
ここからは少しコツがいりますが慣れてしまえばとても簡単です。
外したベルトを下の写真のようにファンとラジエーターの隙間に通します。
どんどん通してファンをクルクルと回します。
ファンはフリーの状態なので手で簡単に回すことが出来ます。
この様な状態になるので、ここまでくれば
スルッとベルトが取れます。
上手く取れましたね。それでは次のステップの前にベルトの種類の解説です。
【解説】最近のファンベルトは凸凹しているベルトに
外したベルトと新しい新品のベルトを比較してみます。どちらもクボタから取り寄せたベルトです。
右が古いベルト、左が新品のベルトです。最近のファンベルトは左の様な凸凹したベルトになっています。一般的にはコグベルトと言います。
コグベルトの方が耐熱性、耐久性に優れますのでコグベルトの方がファンベルトには適していますね。
ちなみにコグベルトが劣化してくると凸っとした部分が取れます。上の写真のようにベルトをグイッと握ると劣化したコグベルトは凸凹の凹の部分に亀裂が入ってくるのでベルトの状態を調べる際は参考にしていただけたらと思います。
【ステップ3】新品のベルトを外した手順の逆で取り付ける
では新品のファンベルトを取り付けます。
外した時とは逆の手順で行います。
ベルトをファンとラジエーターの隙間に通し、ファンをクルクルと回せばベルトが通ります。慣れてくればとても簡単に通せますね。
通ったら3つのプーリーにしっかりベルトをかけます。
ベルトをかけるときはファンとエンジンのプーリーに先にベルトをかけてから、一番最後にオルタネーターのプーリーにかけるようにしましょう。
新品だと中々きついので外す時とは逆にベルトがかかる方に引っ張りながらオルタネーターのプーリーをクルッと回します。
ベルトがしっかりと3つのプーリーにかかったのを確認したら、オルタネーターを自分側に引っ張ってしっかりとベルトを張りましょう。
まとめ
以上でファンベルトの交換の手引きは終了になります。
皆さんが思っているほど難しい作業ではありません。ただ当たり前の事ですがエンジンは必ず停止して作業をして下さい。プーリーとベルトに指が挟まって千切れてしまったという話は整備士の中では良く聞く話です。まずは安全第一で作業をする事を頭に入れていただけたらと思います。
今回はそれ程難しい作業ではありませんでしたが、型式によってはファンベルトを交換するのにとても大変な型式もあります。その型式のファンベルトの交換方法も解説したのでよろしければ参考にして下さい。
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