チェンソーといえば国内ではやまびこ(旧共立)のECHOシリーズが有名でしょうか。
整備士になりたての頃はエチョーなのかエコーなのか解りませんでした(笑)
さて、そのチェンソーの取り扱い方に新しい省令が交付されたのをご存知でしょうか?
防護ズボンの着用が義務化
厚生労働省より『チェンソー防護ズボンの義務化』について省令が公布されました。
令和元年8月1日から、チェンソーを使用する業務に携わる全ての作業者に、チェンソー防護ズボンまたはチャップスの着用を義務化する内容です。
あくまでも業務なので自分の家の木を切るとか山の木を切る等は含まれません。
ですが農家や法人、家族であっても雇用関係にあり給与が発生する場合はこの法令が適用されます。
農家の方が業務でチェンソーを使うことは余り無いかもしれませんが、法令が適用されるされないに限らず自分自身を守る為に防護ズボンは着用するべきと思います。
某ゲームのラスボスが一撃で倒されたり、13日の金曜日に現れる殺人鬼が持っている武器だったり、チェンソーはとても高い殺傷能力を持っています。
最近ではこんな痛ましい事故があったようです。
これは、チェンソー作業で良くあるキックバック(はね返り)による事故です。
あっと思った瞬間に凄い勢いで自分の方にチェンソーの刃が飛んできます。私も家の木を切っていた時になったことがあるので他人事ではありません。本当に恐ろしい思いをしたのをこのニュースを見て思い出しました。
林業は全産業の中での死傷率がワースト1
林業の方は2015年10月にチェンソー防護ズボンの義務化がなされています。
林業は他産業と比べて労災事故の割合が飛びぬけて高い業種です。
伐採した木などによる事故もあると思いますが、やはりプロでもチェンソーによる事故はとても多いということが解ります。
たまにしかチェンソーを使わない私の様な素人同然の方はいかに危険かというのが思い知らされますね。
チェンソーの切り傷は治りにくい
チェンソーの切り傷による怪我は他の刃物の切り傷に比べとても治りにくいと言われます。理由はチェンソーは木を切る時「スパッ」と刀の様に切るのではなく、ギザギザの刃で削り取るように切っていきます。
なので当然チェンソーで人の肌を切ってしまうと線状に切れるのでは無く、縦横入り乱れた傷口になります。病院で縫合手術をしたとしてもどちらの方が早く治るかは明白ですよね。
チェンソーでの怪我の様子はグーグルで検索すれば出てきますので、興味がある方はご自分で検索されてください。(グロすぎてここには載せられません…)
そんな怪我の中で一番多い体の部位が下肢になります。
少し古いですがこんなデータがあります。
一番右の棒グラフが怪我の部位のグラフです。約80%が下肢(下半身)の怪我となっています。
このデータを見ただけでも防護ズボンを着用せずにチェンソーを扱うのは大変危険なことだと解りますね。
防護服には規格がある
以下はハスクバーナのHPから引用
防護服には規格があり、防護衣がカッターを止める性能には規格が定められています。
・JIS T 8125 (日本工業規格)
・ISO 11393 (国際標準化規格)
・EN 381-5 (欧州規格)
上記の3規格はほぼ同一の試験方法によっています。試験は一定の速度で回転するカッターを当てて行われ、裏地を切らなければ合格です。
生死に関わる事ですので当然ながら規格があります。この3規格のうちどれかをクリアしている防護服を購入し着用するべきでしょう。
さらに防護ズボンを着用しなかった場合、罰則があります。
危険防止、健康障害防止について規定されている事項を事業者が実施しなかった場合は、
●事業者に対し、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金刑
●着用指示に従わなかった作業者に対し、50万円以下の罰金刑
が科せられます。
なかなか重い罰則ですね。農家だけで無く全業種が対象ですので、木を扱う造園業や建設業の方々もチェンソーを使う機会が多いかと思います。
自分の身を守る為にも、絶対に防護ズボン+αの着用をお願い致します。