【2021.04.20 追記】
こんにちは!整備士のRedT(@RedT41921)です。
最近、農産物や畜産物の窃盗や盗難のニュースを見たり聞いたりする機会が多くなっている気がします。昨年の豚の盗難は大きな話題となりましたね。
大きな事件は年々減少しているとの事ですが、小規模な盗難事件は全国的にも把握されていないそうで全体的な件数は増加しているのではないか?との記事もありました。
そんな中、今年の春作業が始まる頃私の整備工場に農業機械の盗難が相次いでいるとの情報が入ってきました。トラクター等大型農機だけでなく、小型の草刈機やポンプ等も盗難されているとの事です。
そこで今回は自分で出来る盗難防止対策を記事にしていこうと思います。
古いトラクターの鍵は要注意!
ここで言う鍵とは農業機械を始動する為の鍵(キー)の事です。当然鍵が無ければトラクターなどを動かすことは出来ませんね。
何が要注意なのかと言うと年式の古い型の農業機械の鍵は機種(トラ、コン、田)とメーカーが同じなら全て同じ鍵だという事です。
私達、農機具屋には常識ですが一般の農家さんには余り知られていないと思います。自動車並みに高価な物が個別キーでは無いなんて夢にも思わないですよね…。
農機具屋が知っているのですから、盗もうとする窃盗集団も当然知っています。
田植機に至ってはメーカーが違っても同じ鍵を使っている場合があるので余計に注意が必要です。
2005年頃の型式(クボタだとKL3桁辺り)から大型の農業機械も個別キーになったので古いトラクター程の窃盗リスクは無くなりました。
個別キーかどうかを見分けるにはキーと一緒にナンバーが書かれたプレートが付いているかどうかをご確認下さい。キーを紛失した際にそのナンバーを伝えればメーカー等で再度購入する事が可能です。
新しい農業機械でも注意は必要
新しいトラクター等は個別キーに替わっていると書きましたが、個別キーと言っても全ての鍵が違うパターンではありません。
自動車もそのはずですが、自動車の場合は数千~数万はあるかと思いますが、農業機械の場合は100ちょっとのパターンしか無いとの事です。
メーカーにはマスターキーが保管してあるそうですが、万が一キーとナンバーを無くしてしまった場合、緊急時にはそのマスターキーから探し出す事が出来るとの事。
1/100程度で同じ鍵では、もしかしたらお隣さんのトラクターのキーと同じ物だったなんて事もありそうで怖いですよね。
自分で出来る防犯対策は?
鍵を付けっぱなしにしない
まずは基本の基本、鍵を付けたままその場を離れない事です。飲み物や食べ物を買いにちょっとコンビニへなんて時も絶対に鍵は抜いて下さい。盗もうとしている人が何処で見ているか解りません。
いくら古い農業機械の鍵が一緒と言っても常に持ち歩いてはいないと思いますので、鍵を抜いておく事は基本の防犯対策になります。
使わない時は倉庫などへしまう
こちらも基本ですが使用しない時は倉庫や作業所にしまい施錠しましょう。小型農機は夜外に置いてあれば簡単に盗まれてしまいます。繁忙期にいちいち倉庫にしまうのもとても面倒ですが、常に出しっぱなしの人は防犯意識が低いと思われターゲットにされてしまう可能性があります。
GPS搭載機ならメーカーサポートを利用する
最近の農業機械にはGPSが搭載されている事が多くなりました。圃場管理や作業管理などをクラウドで管理して管理しやするする事が目的です。
GPSを搭載しているのですから管理だけではなく盗難防止にも大いに役立ちます。クボタの場合だとKSASというクラウドサービスがあります。
KSASの加入には料金が発生します。圃場や栽培管理を簡単にしたいと思う方は上記リンクから詳細をご覧いただきたいと思います。
そしてクボタにはもう一つMY農機というものがあります。
何とこちらは無料で登録する事が可能です。
この中の機能でMY農機アラートというものがあり、自分で設定した時間、範囲でキーオンすればお知らせしてくれます。最後に始動した場所も教えてくれるので防犯対策にもなります。何度も言いますが無料ですので対応機種をお持ちの方は絶対に登録してください。
ホイールロックを使う
今度は物理的に盗難を防止する為のグッズを紹介します。
トラクターであればこの様なホイールロックはどうでしょうか?
ハーフクローラタイプでも前輪に取り付ければ対応可能です。
トラクター以外ではハンドルロックがおすすめです。
ハンドルで操作するタイプであれば十分な防犯対策ではないでしょうか。
もう一点とても気になった商品がこちら
その名も「相棒Ⅱ」
常陸板金製作所 相棒II トラクター専用盗難防止器具 タイヤロック器具 メーカー直送 :aibou2:アーチ A・H・C・I - 通販 - Yahoo!ショッピング
左右の後輪タイヤに棒を差し込みロックするという豪快なアイテムです。
ネットではヤフーショッピングでしか購入できないようで、値段は消費税込みで66,000円とかなり高額ですが、これが付いているトラクターを盗もうとは流石に思わないでしょう。
まとめ
今回は農業機械の防犯対策についてまとめてみました。残念ながら様々な方法を試みても100%盗まれないなどという事はありません。専門的な知識を持った窃盗犯にはどうやっても太刀打ちは出来ないのが現実です。
ですが、防犯対策をしているんだとアピールする事で窃盗犯もより低リスクの機械を盗もうとするはずです。一人一人がきちんと対策をしていけば窃盗事件の件数も減ってくるはずですので、他人事では無くいつ自分におこってもおかしくないという危機意識をもつ事が大切だと思います。
【追記】
窃盗犯はカギの付いていないトラクターはクレーンで吊り上げて盗んでいくそうです。これだと最新型のトラクターでもタイヤロックやハンドルロックでも太刀打ちできません。
やはり、盗難防止で効果的なのは農道や家から離れた作業所の敷地等には置かず、格納庫に仕舞うか外に置く場合は家から近い場所に置くことが重要かと思います。