農機具情報局

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草刈り作業もスマート化!ラジコン草刈機はこれがおすすめ!

こんにちは!整備士のRedT(@RedT41921)です。

気づけば2022年も終わろうとしています。

今年は夏の天候が思わしくなく、お米の品質も収穫量も例年より悪かった農家さんが多かったのではないでしょうか。

それに加えて原材料の高騰や円安により製品や部品の値上がりが相次ぎ、非常に農家さんの経営状況を悪くするニュースばかりを耳にします。

私達農機具屋も来年は更に厳しい状況が続くことになりそうで、とても気が重くなります。

そんな中、農機具の紹介の記事を書くのも気が引けますが、草刈り作業にも新しい風が吹いてきているのでご紹介したいと思います。

ラジコン草刈機とは

ラジコン草刈機とは、その名の通りラジコン操作により草刈り作業をしてくれる農業機械です。遠隔操作で草刈りが出来るので、危険な場所や急な傾斜地に行かずに安全に作業ができます。

農作業の中で一番きつい仕事が草刈作業です。自走式の草刈機が登場してからは格段に作業が楽になりましたが、傾斜地では自走式でも思うようにはいかない為、大変な作業には変わりありません。

そんな中、今年に入ってから私の周りでもラジコン草刈機の話題が出る様になりました。

ラジコン草刈機はこんなに種類がある!

近年農機具業界が力を入れる分野が自動化です。その為ラジコン草刈機も各メーカーから色々な草刈機が発売されています。その中でも私が気になるモデルをピックアップしてみたいと思います。

①WADO ロボット草刈機 クロノス MR-301

メーカー 和銅産業株式会社
型 式 MR-301H+MR-301S
小売価格 530,000円(税別)   本体+充電ステーションセット
機体寸法 845mm×520mm×360mm
総刈幅 300mm
適応傾斜角 ~20°?

 

私が知りうるラジコン草刈機で一番小さい物だと思います。

主に使用する場所は、果樹園やヘリポートなど比較的平面で広い場所が向いています。専用のワイヤーを張る事でワイヤーの内側を自動で草刈りをしながら走ります。充電が切れそうになると自分で充電ステーションに帰還する機能も付いています。

まさに屋外のルンバと言えますが、水稲の草刈りにはあまり向いていないと言えます。

メーカーHP:WADO ロボット草刈り機【KRONOS】

②クボタ ラジコン草刈機 ARC-501

メーカー クボタ
型 式 ARC-501
小売価格 1,288,000円(税別)
機体寸法 1084mm×855mm×637mm
エンジン能力 79.2㎤ / 最大3.85PS
総刈幅 500mm
適応傾斜角 ~40°

農業機械最大手のクボタからもラジコン草刈機は発売されています。

クボタのラジコン草刈機はこれが二代目。前期モデルからエンジン性能や車輪の変更、作業速度アップなど大幅な改良がなされています。その分小売価格も約27万円アップと中々の値上げになっていますが、100万円台前半であれば他社製品と比べても手頃な価格設定ではないでしょうか。

性能面では斜面の角度を感知して自動で車輪の角度を調整する「等高線直進アシスト機能」が搭載されている為、傾斜のきつい所でも安心して使用できます。

エンジンは丸山製作所製、本機はクボタの自走式草刈機と車輪が似ているので斎藤農機製作所製ではないかと思われます。ある程度コンパクトなので太陽光パネルの下など幅の狭い場所でも活躍するのではないでしょうか?

メーカーHP:クボタラジコン草刈機 ARC-501|株式会社クボタ

 

 

③アテックス ハイブリッドラジコン草刈機 神刈 RJ705

メーカー アテックス
型 式 RJ705
小売価格 不明           ※前期モデルRJ703は3,550,000円(税別)
機体寸法 1515mm×1110mm×785mm
エンジン能力 最大18.2PS
総刈幅 700mm
適応傾斜角 ~45°

ラジコン草刈機の中でもアテックス社の神刈は見た事がある農機具関係者は多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。最大馬力18.2PS、刈幅70㎝と圧倒的ハイパワーと作業能率です。

現行機のRJ703から2023年2月に後継機のRJ705が発売される予定です。小売価格はまだ未定ですが、現行機よりも高くなるのは間違いないでしょう。現行機でも税別355万円と高額な商品ですのでどれだけ上がるのか恐ろしいですね…。

性能面はハイブリッドなので走行は電動、刈刃はエンジン駆動になっていてパワーを無駄なく伝えることが出来ます。高馬力で刈幅も広く、傾斜角も45°まで対応と文句のつけようがありません。ただ他社製品に比べ大型なので、狭い場所や細かい作業には向いていないと言えます。

値段も高額ですので個人向けでは無く補助金等で集落単位での購入が望ましいかと思います。

メーカーHP:ハイブリッド ラジコン草刈機 | 【株式会社アテックス】

 

番外 ゼノア 親子式傾斜地草刈機 KHM400W

メーカー ハスクバーナ・ゼノア
型 式 KHM400W
小売価格 1,580,000円(税抜)
機体寸法 1310mm×1160mm×1150mm
エンジン能力 親126㎤ / 子50.6㎤
総刈幅 400mm
適応傾斜角 20°~60°

ラジコン草刈機ではありませんが、ゼノアからはこの様な草刈機が発売されています。正直初めて見たときは衝撃を受けました(笑)運搬車に法面草刈機を載せてウインチで引っ張り上げるだけの見た目が独自路線を行ってますね。

実際に作業している所も見ましたが子機が斜面を落ちていく様は中々豪快でした。何回か落としているうちに子機がひっくり返ってしまいそのまま引っ張り上げられる子機が何だか可愛そうにもみえました(笑)

性能面では適応傾斜角60°とかなりの急斜面も対応となっていますが親機は対応していませんので使う場所が中々難しいのではないかと思います。刈幅も40㎝と雑木林などでは活躍しそうですが正直もう少し広い方が良いのではないでしょうか。

ゼノアさんには悪いですが正直に言って私はこのモデルをお客様に進める気が全くおきません。小売価格が6~70万円位であれば考えますが150万円台では高すぎます。狙いは面白いと思うので今後の商品開発に期待したいと思います。

メーカーHP:親子式傾斜地草刈機KHM400W(通称:ベローン)新発売|ゼノア

RedTおすすめラジコン草刈機はオーレック製RCSP530!

 

メーカー オーレック
型 式 RCS530
小売価格 1,180,000円(税抜)
機体寸法 970mm×915mm×580mm
エンジン能力 79.4㎤
総刈幅 530mm
適応傾斜角 ~45°

 

私がおすすめするのは

オーレック製ラジコン草刈機『RCSP530』

です。

オーレックは自走式草刈機、特にスパイダーモアで有名です。(農機具業界では)そんなメーカーが満を持して発売したラジコン草刈機なので悪い物のはずがありません。

機体スペックは最大車速2.7㎞、刈幅53㎝、走行は電動、刈刃はエンジン駆動のハイブリッドタイプとなっており、機体寸法も大きすぎず小さすぎず丁度良いサイズかと思います。

加えて傾斜地向きのクローラタイプ、傾斜アシスト機能搭載で傾斜地でも滑らず直進させる事が可能になっています。

エンジンは自走式のスパイダーモアSP852に搭載されている物がベースのやまびこ製GEH802R、排気量は79.2㎤となっています。SP852のエンジンと聞くと不安になる方も多いかもしれませんが、SP852でのエンジントラブルは殆どが過負荷によるオーバーヒートが原因です。RCSP530はハイブリッド仕様なので余程でない限りSP852で起きるトラブルは無いはずです。

そして一番のおすすめポイントは小売価格1,180,000円(税抜)という点です。他社と比較しても低価格の部類に入り、尚且つスペックも申し分ない為正直個人の農家の方はラジコン草刈機を購入する場合RCSP530を選べば間違いは無いと私は思っています。(実際お客様にも言っています)

ただ一点だけ気になるのは在庫状況です。実機での実演会を見に行った際メーカーの担当も思った以上に引き合いがありシーズン中では確保出来る見込みが無さそうだと言っていました。昨今は色々な事情で生産も遅れている為致し方ないですが、何とか頑張って欲しいものです。

メーカーHP:SPIDER MOWER RC ラジコン草刈機  | 株式会社オーレック 


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まとめ

今回は気になる&おすすめのラジコン草刈機を紹介しました。農業従事者の高齢化、山間地での耕作放棄などにより草刈り作業が大変な重労働になっています。除草剤等の価格も上がっているので除草剤散布だけではコストが掛かりすぎてしまいます。

今後ラジコン草刈機はドローンと同じように普及していくのではないかと思っていますが、現状では個人で所有するには中々踏ん切りがつかないかもしれません。是非こういった新しい技術を広める為にも使いやすい補助金制度を作り国や県は農家さんの助けになってほしいと思っています。