【2019.07.25 追記】
こんにちは!整備士のRedT(@RedT41921)です。
今回は2回目の農業用ドローンの記事になります。
前回の記事のリンクはこちら。
【関連記事】大きく動き出した農業へのドローン活用
前回は農業用ドローンを取り巻く現状や問題点等を記事にしましたが、今回はどのようなドローンがあるのかを紹介したいと思います。
2018年~2019年に各メーカー様々な農業用ドローンが発売や発表されました。大きな変化は2018年に完全自動飛行のドローンが試験販売された事です。これにより自動運転の為の、法規やルール等が変更され本年2019年に正式に国内での機体認定がされる事になりました。
ラジコンヘリで防除されている方なら慣れているので手動操作でも問題はありませんが、やはり一般の農家さんにはスイッチ一つで勝手に除草剤や肥料を散布してくれるのはとても魅力がありますね。
下のリンクは2019年4月時点の農林水産省発行の農業用ドローンのカタログです。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/423catalog.pdf
私自身も聞いたことが無いメーカーも載っていてとても興味深いカタログです。
資料によるとドローンメーカーは提携などは含まず11社あります。
クボタはDJI製ですが自社で改良しているのでドローンメーカー扱いになっているようです。
さて、前置きはこれくらいにして主力メーカーのドローンを紹介したいと思います。
DJI『AGRAS MG-1P RTK』『AGRAS MG-1S Advanced』
ドローンを持っている方には説明不要のDJI。中国語では大疆创新科技有限公司。世界のドローン市場の7割近くのシェア率を誇るんだとか。
農業用ドローン分野でもその絶大な人気は同じです。現に国内農業機械シェアトップのクボタはDJI製を改良して販売し、ナンバー2のヤンマーは委託販売しています。
そんなDJIからは『AGRAS MG-1P RTK』『AGRAS MG-1S Advanced』の2機種が発売されています。
手動タイプは2018年に発売し、2019年に自動飛行タイプを発売しました。自動飛行タイプの特徴はDJIのPhantom4などが撮影した正確な地図を元に自動飛行のルートを設定できます。更に凄いのは1台のプロポで5台!まで同時に自動飛行させることができる事です。
5台も飛ばして散布する様子を一度は見てみたいですが、流石にどこぞの石油王でもなければ日本の圃場では非現実的でしかも採算が全く合わないはずなのでオーバースペックだと思います。
しかし制御範囲は3㎞までと相当広いのでドローンの規制が緩和されれば2~3台で離れた圃場を防除するというのはありえる話かもしれません。
XAIRCRAFT『P20 v3』『P30』
中国の本社は【XAG】日本では【XAIRCRAFT JAPAN】という社名になります。
農業用ドローンの事を勉強するまでは全く知らないドローンメーカーでした。しかし良く調べてみると中国で農業用の自動飛行ドローンではDJIを抜いてシェアトップです。
DJI製との大きな違いはDJI製はプロペラが8枚なのに対しXAG製は4枚になっています。
プロペラの数が少ないと当然1枚当たりのサイズが大きくなり薬剤散布に必要なダウンウォッシュがプロペラ8枚のタイプよりも強くなります。一概には言えませんが単純なスペック的にはXAG製の方が散布性能は上のはずです。
ただ『P20』と『P30』がカタログには載っていますが、6月末現在では『P30』は中国では発売されているようですが日本のXAIRCRAFT JAPANのホームページ上では確認できていません。
『P30』は大型のサイズで積載量も多い為、散布可能面積も1時間当たり13haと驚異的なスペックです。オプションで肥料などの粒剤散布も可能と聞いているので自動飛行ではXAGが頭一つ抜けているのではないでしょうか?実際に実機を見るのが楽しみですね。
【追記】
2019年発売予定だったP30ですが日本での許可が下りない為、2020年春頃の発売に延期されました。デモフライトは可能との事なので、気になる方はXAGの代理店に問い合わせしてみてください。
クボタ『MG-1SAK』『MG-1RTK』
クボタの農業用ドローンは型式名にMG-1と有る通りDJI製を自社で改良して発売しています。
『MG-1SAK』は手動操作ですが、操作モードは3種類あります。
- 手動操作モード(M)
- 手動強化操作モード(M+)
- AB点モード(AB)
1は完全に手動操作、2は直進などは手動操作ですが、スイッチ1つで決まった距離を横に移動したり、一定の高さでホバリングしたりと手動操作をアシストする沢山の機能が追加されます。3のAB点モードは説明書には機体認定申請中と書いてあるので、まだこの機能は使えないかもしれませんが、クボタの田植機のようにGPSを使いA地点とB地点を記憶させ直進を自動飛行で行うものだと思われます。半自動飛行といった所ですね。
価格は本体のみで100万円程度。前の型式のMG-1は130万程だったので大分値段は抑えられています。
『MG-1 RTK』はクボタのホームページ上でしか確認していませんが6月に発売されました。
DJIの『AGRAS MG-1 RTK』を改良したものですが、機能はほぼ変わりないはずです。プロポ1台で5台操作可能とは流石に書いてありませんのでその機能は無いか封印してあるのだろうと思います。
【追記】
『MG-1RTK』の機能が解ったので追記します。
まず販売内容と販売価格ですが
- RTK ドローン本体×1
- RTK アンテナ×2
- アンテナ用三脚×1
- 液剤散布装置×1
以上のセットでの販売のみ。オプション以外は単品販売不可。
そして価格はメーカー希望小売価格¥1,850,000(税別)です。
操作は直進や旋回は自動飛行ですが、帰還や着陸は手動操作で行います。(プロポが付いているのはその為)
散布性能ですが水平の誤差は±50㎝とかなりの誤差有り。
自動飛行時に万が一何かあった場合も自己責任、緊急時はプロポにて手動操作という事です。
半自動飛行と言うより8割自動飛行といったところでしょうか?水平の誤差がどの程度散布に影響があるのかは定かではありませんが、散布高度が2mという事なので結構なドリフトになってしまうのではないかと思います。
総括
今回は中国メーカーを中心に3社のドローンをピックアップしました。農業用ドローンでも中国のDJIとXAGがシェア1,2になる見込みです。XAGの『P20』を見学する機会がありましたが、正確な飛行能力や散布能力、特に障害物を自然に避けるところを見ると凄い時代になったなと感心しました。
次回は国内メーカー中心に数社のドローンをピックアップしたいと思います。